ノーシードの飯山が優勝候補上田西を相手に長打力で快勝した。6本の二塁打(上田西は1)のうち、4本が連続する破壊力を見せた。2回に先制点を挙げた石沢太一内野手(3年)はパワーの秘密の一端を「僕たちには5万本スイングという約束があります」と明かし、ちょっとだけ胸を張った。

1月から3月の対外試合解禁日までに5万スイング。バドミントンのシャトル打ち、素振り、ティーバッティング、このどれかをやりながら、期日までにトータルで5万。1日に換算では約750スイング。石沢は「みんな大変そうでした。僕もきつかったです。始発で学校に来て、遅くまでやったり、家に帰ってから振ったりしました」。

その背景にあるのは、昨秋から監督に就任した吉池拓弥監督(28)の打ち勝つ野球。「バントで送って1点を取っても、私学の打撃力では簡単に返されてしまう。ビッグイニングをつくれるよう、生徒には『甲子園で長打を打てるようにしよう』と言っています」。

多いときには3メートルも積もる豪雪地帯の飯山で、振って振って振り抜いたバットが、初の決勝進出を実らせた。【井上真】