全国区の注目となった岩手決勝は、第1シードに163キロ右腕が挑むゴールデンカードに決まった。花巻東が11-5で黒沢尻工に逆転勝ち。5回を終え4点差を追う劣勢から、8回に7点を奪うビッグイニングで、初の連覇に王手をかけた。プロ注目の佐々木朗希投手(3年)を擁すノーシード大船渡は、打線が3回までに4点を奪って2安打15奪三振完封のエースを援護した。

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大船渡は怪物右腕だけじゃない。2戦連続の延長戦勝ちと苦しんだ打線が序盤から、追加点を刻んで佐々木を助けた。

1回は1番及川恵介捕手が右前打、2番熊谷温人外野手(ともに3年)は四球と無死で得点圏に走者を進め、4番佐々木の先制適時打をお膳立て。2回は及川のチーム打撃(二ゴロ)の間に3点目を入れ、3回は5番木下大洋外野手(3年)が「チームで低めを見極めることができた」と適時二塁打。3回で4-0とリードした。

千葉宗幸主将(3年)は3打席で出塁。2回には先頭で打撃妨害となり、3点目のホームを踏んだ。「2つの延長戦で勝ち切れたことで、チームが大きく成長した」と手応えを口にした。花巻東とは公式戦初対決。公立勢との組み合わせが続き、私立勢とも初対戦だ。「注目されるけどプレッシャーを感じずに、仲間を信じて戦いたい」。戦いの中で絆を深めながら、1日でも長い夏にする。