全国区の注目となった岩手決勝は、第1シードに163キロ右腕が挑むゴールデンカードに決まった。花巻東が11-5で黒沢尻工に逆転勝ち。5回を終え4点差を追う劣勢から、8回に7点を奪うビッグイニングで、初の連覇に王手をかけた。プロ注目の佐々木朗希投手(3年)を擁すノーシード大船渡は、35年ぶり2度目の聖地へあと1勝と迫った。決勝は今日25日午後1時プレーボールだ。

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花巻東(岩手)も底力を示して、佐々木朗希撃破の舞台をつかんだ。初回に先制したが、4回に一挙5失点で一時は4点差。だが、6回に反撃の1点を奪うと、7回には右手中指のまめをつぶした黒沢尻工の右腕・石塚綜一郎投手(3年)を攻略。救援投手にも襲いかかって11-5と逆転勝ち。連覇を狙う佐々木洋監督(43)は、大船渡との決勝に向け「例年より近めから打つ練習はしてきましたが、ビデオも含めて、ほとんど見てないんですよ」。試合後は大船渡-一関工戦をスタンドで観戦。「これから朝まで、じっくり見たいと思います」と“朝まで生朗希”で徹底研究する。

チームは最速150キロ右腕・西舘勇陽投手(3年)が好投を続けている。左腕の中森至(3年)やサイド右腕の佐藤靖友(3年)ら緩急を操る好投手も多い。打撃陣も向久保怜央外野手(3年)と高橋凌内野手(3年)の1、2番コンビが俊足巧打で相手投手を揺さぶる。中村勇真外野手(3年)水谷公省内野手(2年)田村陽大内野手(2年)の左打ちクリーンアップはパワー抜群で長打力もある。上位下位問わず、バントやエンドランなどの機動力も健在。先頭打者の出塁が佐々木攻略のカギとなりそうだ。【鎌田直秀】