前橋商のプロ注目左腕、井上温大投手(3年)が延長12回にサヨナラ打を放ち、優勝した2010年大会以来、9年ぶりに決勝戦に進出した。

劇的な幕切れだった。タイブレーク突入直前の延長12回2死一、二塁で、井上がカウント1-0からの直球を激振。詰まった打球が右前にポトリと落ちる間に二塁走者が生還。サヨナラ勝ちで決勝戦進出を決めた。

「正直、タイブレークはやりたくなかった。気持ちで打ちました。『(右前に)落ちてくれ』と祈りながら走りました」と声を弾ませた。

7回を投げた準々決勝の樹徳戦から中1日でのマウンド。174センチ、68キロの細身の体ながら、スタミナには自信がある。この日最速の142キロを9回に計測するなど尻上がりの投球で13三振を奪って12回を7安打2失点。150球の熱投にも「疲れは感じなかったし、スライダーもキレた。これまでで一番の投球ができた」と胸を張った。

27日の決勝は、大会3連覇中の王者・前橋育英と激突する。住吉信篤監督(45)は「当日の様子を見て」と慎重だが、左腕はマウンドに立つ覚悟だ。「投げなくて負けたら悔いが残る。公立校の意地を見せて勝ちます」。9年ぶり6度目の夏の甲子園出場へ、左腕が力を振り絞る。