関東第一が3年ぶり8度目の甲子園出場を決めた。

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最後の1球がキャッチャーミットに突き刺さると、ナインはマウンド目指して駆けだした。3年ぶり8度目の優勝。人さし指を突き上げながら、歓喜の輪の中心に渋谷嘉人内野手(3年)はいた。ひょんなことから任された主将。「めっちゃ、うれしい。カンイチに携わった人たちに感謝したい」と喜びを爆発させた。

新しい関東第一の主将像が出来あがったのは、新チーム発足後しばらくたってからだった。米沢貴光監督(43)に「主将らしい人がいない代」と言われ、2週間ずつ交代で主将を務めた。その中で、なぜか現主将の渋谷が務めた2週間は、練習試合で勝ち続けた。負けない主将-。ナインから正式に主将を任された。

主将経験もなく、中心選手でもなかった。「関東第一の歴代主将を考えると、気持ちも強くて個人のプレーもすごい。そしてチームをまとめる力もある。だから自分かぁと思った」と不安だった。はきはきしているがおとなしく、少し天然な一面もある。しかし、その人の良さが、ナインに主将をもり立てようとさせ、チームにまとまりを生んだ。最速147キロを誇る谷幸之助投手(3年)と制球力が武器の土屋大和投手(3年)のダブルエースを中心に、打線も69安打47打点19盗塁と機能。決勝戦以外は全て大勝した。

チームは8度目でも、部員内に甲子園出場経験者はいない。米沢監督は「初出場みたいなもの。僕が知っていることを教えて、準備をしたい」と話した。必ず甲子園へ行けると思って入学してから2年間足踏みした関東第一ナイン。最後の夏、憧れの場所への切符をようやくつかんだ。【加藤理沙】