スライダーを捨て、金星を拾う- 第101回全国高校野球選手権(甲子園)第2日の7日、旭川大高(北北海道)が第3試合で星稜(石川)と対戦する。

今大会屈指のプロ注目右腕、奥川恭伸投手(3年)対策として、宝刀スライダーは極力、手を出さないことを徹底する。変化球の見逃し三振はOK。最速158キロの直球中心に狙いを定め、粘って球数を投げさせることで疲弊させ、白星を呼び込む。

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身の丈に合った戦いで、優勝候補の足をすくう。星稜戦を翌日に控え、旭川大高は開会式を終えると大阪・豊中市内のグラウンドに移動し約2時間練習した。奥川との対戦決定後、端場雅治監督(50)は選手に「スライダーは捨てて、見逃し三振でもOK」と指示。この日の最後は、直球対策として、約13メートルと近距離からのフリー打撃で締めた。主将の持丸泰輝捕手(3年)は「速い球の方が、まだ対応できる。厳しいところに投げてくると思うが、何球かは甘い球がくる。それを逃さないように」と意気込んだ。

狙いを徹底した上で、粘って、じらして難敵をうっちゃる。菅原礼央遊撃手(3年)は「いかに相手に球数を投げさせるか。3球で終わらせないことが大事」と言う。昨夏の奥川は2回戦の済美戦で、4回に足がつり、降板している。暑さ対策に塩分摂取用タブレットを持ち込んでいるが、猛暑“アレルギー”は、そう簡単には克服できない。疲れさせ本来の投球をさせないことも、勝利へのカギを握る。

疲弊させたところで、効率よく加点する。端場監督は「見たことがない150キロの球を打てと言っても、イメージがわかない。打ち勝とうなんて思わない方がいい。少ないチャンスをどう広げるか」と言う。北大会決勝のクラーク戦は初回に四球で出た走者を犠打で送り、ヒット1本で先制した。出場49校中、犠打27は2位、16盗塁は3位。連打が出なくても点を取るすべはある。チームトップ6犠打の菅原は「やるべきことをやれば、勝機はある」と話した。

ミス0で守り抜く覚悟もある。北大会4試合での失策はゼロ。端場監督は「まずは守りから。そういう意味では今日の動きは良かった」と手応えを口にした。積み上げてきた堅実な野球を聖地でも披露し、全国に「旭川大高」の名をとどろかせる。【永野高輔】