春夏連続出場の津田学園(三重)のエース前佑囲斗(まえ・ゆいと、3年)が投打に活躍し、チームを初戦突破に導いた。

2回表2死一、三塁から左中間突破の先制2点二塁打を放ち、投げては7安打11奪三振の1失点完投。序盤は制球に苦しみ、静岡打線の粘りもあって、球数160球。「120球ぐらいならよかったけど、序盤はすごくコントロールに苦しみましたから。内容はまだ全然。40点ぐらいです」と表情を引き締めた。

悪い中にも手応えはあった。最速152キロの球速は145キロ止まりだったが、それを2回と最終回に計測した。「序盤は上(半身)で何とかしようとしたけど、4回ぐらいで監督に“股関節を使えてないぞ”と言われて、下半身でコントロールすることを意識した」。試合中にフォームを修正できるセンス。それを支える体力をつけてきた。昨夏は県大会2回戦で四日市に6-7でサヨナラ負け。最後にマウンドにいた。「自分のせいで負けた」と号泣した。スタミナアップに励み、体重は1年間で約10キロ増えて89キロ。この日は「最後は体は疲れている感じでしたが、投げるにはちょうどいい感じ」と余力を残した160球だった。

この日は佐川竜朗監督の41歳の誕生日。「抽選会が終わった時点で分かっていたので、勝利をプレゼントしたかった」。全部員が300円ずつ出し合い、プレゼントを買った。さらに白星という最高のプレゼントももぎ取った。次戦は履正社(大阪)が相手だ。直前の試合で大会タイ記録の1試合5発を記録した強力打線に挑む。「今日のような投球だとダメですが、万全の準備ができれば、抑えられる可能性はあると思います」。1勝に終わった17年夏を上回る、初の甲子園2勝へ。意欲満々だ。