<全国高校野球選手権:星稜6-3立命館宇治>◇13日◇2回戦

1球が、1つのプレーが勝負を分ける。令和となって最初の夏。熱い戦いのワンシーンを「ヨネちゃんの『プレー』バック」と題して切り取った。

   ◇   ◇   ◇

捕れると思って走った。ところが、打球はグングン伸びた。立命館宇治・上田龍一郎右翼手(3年)の左を襲った飛球だ。6回無死一、二塁。二塁打となって3点目が入った。「いけると思ったんで、ボールから目を切らず、見ながら走った。それが風に乗って伸びました」。上田が話した。

台風10号の影響だろう。この日は快晴ながら、風速が7メートル。浜風とは逆、左から右へ吹いた。二塁打した星稜・福本陽生二塁手(3年)は「センター返しのイメージで打ちました。芯で捉えたんで、ドライブがかかった」と打席を振り返った。

上田は打者を見て、こまめに守備位置を変えた。ほか2人の外野手にも位置を指示した。そんな外野の要が、6回の福本の打席を悔やんだ。「7番の右だったんで定位置でした。(風を考えて)もっと後ろにいればよかった。頭を越されたのは初めてです」。

試合後、上田は泣きじゃくる宮下力外野手(2年)に声をかけた。「お前が(自分のあとの)3番に入って、戻って来いよ」。風にしてやられた雪辱を、後輩に託した。【米谷輝昭】