先輩たちの借りを返す快投だった。昨秋の県王者・盛岡大付は盛岡四に勝利し、県大会出場を決めた。背番号11のサイドスロー大久保瞬投手(2年)が8回無失点8奪三振の力投。打線は相手左腕を攻略できず苦戦したが、完封リレーで逃げ切った。

今春の県大会準決勝で、公式戦5連勝中だった盛岡四に、延長10回サヨナラで負けている。リベンジのマウンドへ、武者震いしながら大久保は向かった。初回は先頭打者に右前に運ばれたが、後続を3者連続三振に抑えた。先頭を出したのは、この1度だけ。何度も雄たけびを上げながらテンポよく8回を投げ抜いた。「初回の入りが良かった。直球が走りスライダーが要所要所で決まった」と納得する。サイドスローへの転向は中2のとき。当時の監督から勧められ「オーバースローだと横回転が掛かってしまい、試しに投げてみると、しっくりきた」から。投手戦が続き膠着状態だった1-0の6回2死三塁では、自ら適時二塁打を放ち貴重な追加点を奪った。

先発が予想される相手左腕を想定し、前日(26日)の練習では、前エース左腕の阿部秀俊(3年)らが協力。打線爆発とはいかなかったが、勝利で応えた。関口清治監督(42)は「試合前半はランナーを出してから凡打が多かった。5点ぐらいは取れるチャンスはあった。(大久保は)右打者にはいいが、左打者に捉えられる点が課題」と分析する。けが人がいてベスト布陣は組めないが、公式戦だからこそ、貴重な経験値となる。戦力底上げを図りながら、連覇へ挑んでいく。【山田愛斗】