仙台育英(宮城)が4-0で宇部鴻城(山口)を破り、準々決勝進出を決めた。エース右腕・大栄陽斗(3年)が7回途中2安打無失点。鈴木千寿(3年)、伊藤樹(1年)の両右腕も好投し、星稜(石川)相手に甲子園で17失点を喫した屈辱を、3投手の完封リレーで晴らした。今日30日の準々決勝では智弁和歌山と対戦。

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大栄が最上級生の存在感と意地を示した。1回裏、いきなり自己最速を1キロ更新する146キロを記録。バックやベンチの仲間からの声に笑顔で応え、快投をスタート。1番打者を得意なスライダーで空振り三振に封じると、6回1/3を2安打5奪三振無失点。「出来すぎなピッチング。3年生最後の大会で、取り組む姿などを後輩に伝えられたと思う。本当は(鈴木)千寿と2人で投げきろうと言っていたのですが、今後にも自信は持てた」。2番手の鈴木が1回2/3を1安打4奪三振。伊藤も1回無安打2奪三振の勢いにもつなげた。

今夏以降、個人の課題に沿って、練習を継続してきた。平日には「3年生対新チーム」で練習試合も積み重ねた。「1、2年生は強いんですよね」と苦笑いするように、10戦弱でわずか1勝のみ。だが、さらに成長する姿を披露する真剣勝負は下級生の刺激となり、秋の県大会8連覇にもつながった。

途中から三塁守備に就くなど、大学進学後も「二刀流」を継続する予定だ。智弁和歌山戦は両監督同士が話し合い、選手らの将来を見据えて木製バットを使用する可能性がある。「すでに木で練習しているし、芯に当てないと飛ばないので的確にミートしないといけない。楽しみです」。腕試しの舞台にもなりそうだ。

須江航監督(36)も「大栄がしっかり試合を作ってくれたことに尽きます。3年生はこの時期も伸びるんです。下級生たちの東北大会(10月11日開幕、岩手)も楽しみ」と相乗効果に期待。まずは大栄らが、県勢初の国体単独優勝を置き土産にする。【鎌田直秀】