昨秋王者の札幌大谷が苦しみながら8強入りした。11回延長でサヨナラ勝ちした初戦に続き、2回戦は稚内大谷に3-2で逆転勝ち。先発の掛川竜太朗(1年)横手投げの竹嶋亮(2年)の投手リレーで2失点に抑え逃げ切った。

明治神宮大会を制した前チームより、さらに団結力を強め2年連続のセンバツを狙う。札幌麻生で行われる予定だった2試合は降雨のため9日に順延となった。

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後輩のためにも負けられない。1点リードの7回無死一塁。札幌大谷の竹嶋が気合を入れてマウンドに向かった。6回まで5安打2失点とゲームを作った掛川と、マウンドで握手を交わしバトンを受け取った。サイドからコーナーを突く投球で得点を許さず、3回1安打無失点。終盤の反撃を断って逃げ切った。竹嶋は「(掛川に)勝ち星を付けてやりたかった。勝てて良かった」と笑顔を見せた。

前年王者は「団結力」を掲げて臨んでいる。昨秋は明治神宮大会で優勝、今春のセンバツでは甲子園初勝利を飾った。個々の能力が高いメンバーが集まった前チームと比べ、船尾隆広監督(48)は「選手はその違いを理解して、チームワークで何とかしようと考えている」と話す。攻撃では後ろにつなぐ意識を徹底。3回の勝ち越し点は2四球にバント安打で満塁にしてからの適時打で、5人が絡んで2点を奪った。

投手陣はお互いを高め合う。気持ちを前面に押し出して投げる1年生の掛川はチームに勢いをもたらす。2年生にはいないタイプで、竹嶋は「盛り上げてくれるムードーメーカーで良い刺激になる。僕たち2年生をその気にさせてくれる」。学年は関係なく、長所を受け入れて常にチーム力の向上を目指している。

初戦の北見工戦(6日)は延長11回の末にサヨナラ勝ち。苦しみながら2戦連続で1点差ゲームを制し、指揮官は「チームとして成長していると思う」と評価する。2戦連続で長打はなし。大勝はしないが、先輩たちから受け継いだ勝負強さは武器となっている。10日の準々決勝は札幌日大と対戦する。「自分たちの代は派手さはないかもしれない。だからチーム一丸になって頑張っていきたい」と竹嶋。泥臭い全員野球で、再び頂点に向かう。【西塚祐司】