帯広農が北海道栄を5-0で下し、初の4強に進出した。背番号6の右腕千葉俊輔投手(2年)が公式戦初先発で3安打完封。

1番打者としても、6回1死一、三塁で左前適時打を放ち、勝利を決定づける5点目をたたき出した。1926年(大15)創部の古豪が82年夏以来38年ぶりの甲子園へ、大きく前進した。11日は休養日で、12日に札幌円山で準決勝が行われる。

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秋初の4強にも浮かれることはなかった。最後の打者を二ゴロに打ち取った帯広農・千葉俊は、腹の前で小さく右拳を握ると、渋谷悠稀捕手(2年)に駆け寄り、軽くグラブタッチ。公立校の4強入りで、21世紀枠候補の可能性も出てきたが「僕らは全道優勝しての甲子園を目指している。まだまだここから」と気を引き締めた。

本来は遊撃兼投手だが、7月に右ひじを負傷したことで、地区予選は登板を回避していた。前田康晴監督(35)は「ある意味、秘密兵器」。全道初戦の武修館戦は1番遊撃で先発し、3点リードの6回途中からエース井村塁(2年)を救援し、4回2失点で試合を締めた。復帰登板で勢いづくと2回戦の札幌山の手戦は、切り込み隊長として初回に先頭で出塁し、結果的に決勝点となる生還。3戦目のこの日は投手として完封と、投打でフル回転し、チームを準決勝に導いた。

1年秋から遊撃のレギュラーで「投手より遊撃で守っている方が自分でリズムがつくれて好き。でも今日は、うまく打たせて取れたので、投手も面白くなった」。初戦で今夏甲子園出場の旭川大高を倒し勢いに乗る北海道栄相手に、最速130キロ前後の直球と多彩な変化球を織り交ぜ、27アウトのうち13個を内野ゴロで打ち取り、テンポよく110球で9回を投げきった。

自身の公式戦初完投で、エース井村を温存できたことも、チームとして大きなプラス材料だ。「井村と2人で互いにカバーし合っていけたら」。この秋は、地区から6戦連続2ケタ安打、計75安打56得点、1試合平均12・5安打9・33得点と、攻撃力も破壊力抜群。攻守万全の状態で、聖地を目指す。【永野高輔】

▽帯広農の前田監督 千葉の代わりに遊撃で出た佐伯(柊=1年)も、ひとつ失策はあったが、落ち着いて最後までプレーしていた。全員が役割を果たそうと頑張ってくれている。

 

◆帯広農と道大会 秋は9度目の出場で、過去8度は09年の8強が最高成績だった。春は直近が83年で、7度の出場すべて初戦敗退。夏は今夏も含め19度出場し、72、80、04年の3度4強入りし、82年は優勝。初出場した82年夏甲子園は初戦の2回戦で益田(島根)と対戦し、2-5で敗れている。