プロ野球のドラフト会議が17日、東京都内で行われる。道内の高校生も指名を待つ。今夏の南北海道大会8強に進出した札幌創成のエース右腕、竹内龍臣(3年)は、中日の外野手だった遠田誠治監督(55)の指導で最速147キロの好投手に成長し、同校初のプロ選手を目指す。東海大札幌の小林珠維投手、旭川大高の持丸泰輝(ともに3年)も運命の日を待つ。

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札幌創成の竹内は1球団から届いた調査書に願いを込めて記入した。2日後に迫る運命の日を前に緊張感は隠せない。「大会で投げるときのようにドキドキしている」。今夏の南大会で優勝した北照に準々決勝で敗れた後も、下級生に混じって練習してきた。次のステージはプロの舞台だと信じているからだ。

セールスポイントは最速147キロの直球だ。昨秋はまだ133キロだったが、ひと冬で跳ね上がった。それまで苦手だったウエート練習を増やし、友人と競うように体を鍛え上げた。「直球には自信がある」。今夏は投球の9割が直球で南大会8強の原動力になった。

昨秋、遠田監督に「どうせなら、プロを目指せ」と発破をかけられた。中日で外野手として6年間プレーした恩師の言葉に発奮した。さらに「こいつマジすごいです」と竹内が評価する同学年の堀岡稜太内野手の存在も大きかった。選手層の厚さからベンチ入りできなかった友人が、誰よりも練習する姿に触発された。「あいつに引っ張られてここまでこられた」。冬場は2人で一緒に毎朝1時間、校庭でタイヤ引きをし、下半身をいじめた。

遠い存在だったプロ。「家に近いから」と選んだ高校での出会いが変えた。入学時に58キロだった体重も現在は80キロ。体以上に成長したのが野球に打ち込む姿勢だった。遠田監督は「いずれ直球は150キロもいくでしょう」と言い、続けて「それ以上に制球力が良い」と評価する。元プロの指揮官から見ても、ポテンシャルは十分だ。

指名されれば、64年創立の同校から初のプロ選手になる。ソフトバンク千賀のように直球で戦える選手を目指す17歳は「プロになって先発で活躍していける選手になりたい」。恩人への感謝と、3年間の成長への自信を胸に、吉報を待つ。【浅水友輝】