プロ野球のダイエーなどで活躍した就任2年目の佐々木誠監督(54)が率いる鹿児島城西が、城北に圧勝して4強入りし、春夏通じて初の甲子園出場を濃厚にした。

佐々木監督は試合後、安堵(あんど)の表情を浮かべ、快勝をかみしめた。球場の外でも興奮が収まらない選手たちの脇で「これまでも甲子園に行くチャンスはあった。ただ反省が多く、今年の夏の分も自分なりに取り戻そうとしてきた」と振り返った。昨年1月の就任以来、指導の難しさを痛感。新チーム始動にあたり「二重人格になるぐらい厳しく接した。選手を突き放し、反骨心や反発心を誘発してきた。私がプロでそうでしたから」と鬼軍曹と化した。「悔しいなら勝ってごらん。強いチームになってごらん」と鼓舞し、荒療治で乗り越えた。

「反骨心をあおるため、あえて1年生をレギュラーに使ったりした」と言い、レギュラーの入れ替えや1年生のベンチ入りを増やすなどして競争意識を高めた。一方で個々の打法を尊重し、打力を引き出せるよう丁寧に指導した。

選手も期待に応えた。3回1死二塁で1年生の9番・長隆稀内野手が高校通算3号となる先制2ラン。4-0の6回には古市龍輝外野手(2年)が負けじと2戦連発となるソロを放った。最後まで城北を圧倒して8点を奪い、1回戦で12安打7得点した勢いのままだった。

佐々木監督は現役時代、豪快に踏み込む1本足打法で通算170本塁打、首位打者にも1度輝いている。指揮官が「10点取るチームを目指している」という方針で快進撃に導いた。準決勝では大分商と対戦する。【菊川光一】

◆佐々木誠(ささき・まこと)1965年(昭40)10月3日、岡山・倉敷市生まれ。水島工から83年ドラフト6位で南海入団。ダイエー、西武、阪神で外野手としてプレー。米独立リーグにも挑戦し01年に引退。プロ16年間で通算1581試合出場、1599安打、タイトルは盗塁王2度など。引退後はダイエー、オリックスなどでコーチ、社会人のセガサミーでは監督を務めた。左投げ左打ち。