待ちに待った春が来た! 第92回センバツ高校野球大会(3月19日開幕、甲子園)の選考委員会が24日、大阪市内で開かれ、加藤学園(静岡)の春夏通じて初の甲子園出場が決まった。1996年(平8)の創部から24年目。37人の部員と指導者らがチーム一丸となり、聖地への切符をつかんだ。

県東部勢としても95年夏の韮山以来、25年ぶりの甲子園。センバツでは92年の御殿場西以来、28年ぶりの東部地区の吉報だった。選手たちは大舞台に向け、決意を新たにした。組み合わせ抽選会は3月13日、大阪市内で行われる。

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午後3時17分。センバツ出場決定の電話を受けた加藤学園の加藤瑠美子校長は「ありがたくお受けいたします」と答えると、涙ながらに3度、お礼の言葉を述べた。その後、同校長から報告を受けた選手たちは歓喜の輪をつくり、喜びをかみしめた。勝又友則主将(2年)は「ほっとした反面、やってやるぞと感じた。甲子園でも全員野球を貫きたい」と引き締めた。

エースの肥沼(こいぬま)竣投手(2年)がけん引するチームは、昨秋の東海大会準決勝で県岐阜商にサヨナラ負け。一時、甲子園は遠のいた。しかし、その後の神宮大会で東海王者・中京大中京(愛知)が優勝。巡ってきた神宮大会枠にすべりこんだ形となったが、日頃の行いが運を引き寄せた。チームでは、あいさつや時間を守る、野球道具を大切に扱うといった普段の姿勢や、授業態度などが乱れていると練習に参加できないという。「当たり前のことを当たり前にする」を徹底してきたことで、野球の神様を味方にした。

この日、喜ぶ選手たちを優しく見守っていたのが3年生たちだった。昨夏敗退後も練習に参加し、後輩をサポート。昨秋の県大会直前には、現役選手たちと同じく気合の五厘刈りにし、ともに戦う姿勢を示した。そんな先輩たちに勝又は「3年生が自分たちの土台をつくってくれたと思っている。感謝しています」。対して、林口泰地前主将(3年)は「(甲子園出場が決まり)素直にうれしい。甲子園でも持ち前の粘り強さを発揮してほしい」と望んだ。

昨秋の東部地区大会3位、県大会は準優勝と頂点には1度も立てなかった。だからこそ主将は「出ただけで満足せず、全員で優勝を目指したい」と力を込めた。久しぶりに県東部地区からの甲子園出場。地元地域の期待も一身に受けた「カトガク」ナインが、聖地で大暴れする。【河合萌彦】

▽西武高橋朋(07年卒) 母校の甲子園初出場を聞き、すごくうれしかったです。東海地区大会もチェックしていましたが「今年はいけるんじゃないか」と思っていました。甲子園に出る高校は名門ばかり。初出場なので、気負わず精いっぱいプレーしてほしいです!

◆加藤学園高等学校 1926年(大15)に沼津市内で創設された沼津淑徳女学院が前身。2年後に併設された沼津淑徳商業女学校が沼津女子商業学校、沼津女子高校などと改称し、77年から現名。83年から男女共学。特進部、進学部、総合学部を持つ。今月1日現在の生徒数は男子696人、女子674人。野球部は95年創部。柔道部や陸上部、チアリーダー部も有力。住所は沼津市大岡自由が丘1979。加藤瑠美子校長。