日本高野連と主催の朝日新聞社は20日、第102回全国高等学校野球選手権大会の運営委員会をウェブ会議で行い、8月10日から開幕予定だった甲子園大会と、49代表校を決める地方大会の中止を決定した。

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大阪桐蔭は3年生全員が甲子園の土を踏めないまま、高校野球を終える。西谷浩一監督(50)は「覚悟しているつもりだったけど、3年生の顔が浮かんできて心が痛いです。甲子園の日本一を目指して大阪桐蔭に集まった子たち。厳しい練習をさせてきてこんな形で何も試合をさせてやれない。監督として何かしてあげられることはないかと、無力さを今は感じます」無念さをにじませた。

大阪府高野連は、独自の大会開催も視野に入れて検討中。「そういう大会があるなら、もしやってもらえるなら3年生の目標になるしありがたい。次のステージに向けて準備にもなる」と教え子を思いやる。

平成の甲子園最多タイの63勝。最強王者として聖地に君臨してきた。現3年生は中日根尾ら「黄金世代」が春夏連覇を達成した18年の夏をスタンドから見届けた。今春、その時以来となる甲子園切符を手にしたが無念の中止。2年ぶり出場を目指した夏の舞台も消滅した。教え子たちを襲った酷過ぎる状況。指揮官は「今日1日で気持ちが晴れるほど甲子園は軽いものじゃない。なんとか前に進む道しるべをつくってあげたい」。今は寄り添うことを考え、教え子の顔を思い浮かべた。【望月千草】