第102回全国高校野球選手権大会中止にともなう岩手県独自の代替大会が3日、雨で1日順延となった沿岸南地区で開幕した。昨夏、佐々木朗希投手(18=ロッテ)を擁して準優勝した大船渡が10-1で大槌を下し、初戦突破した。5日の代表決定戦では、11日からの県大会出場を懸けて大船渡東と対戦する。

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161センチのエース左腕・前川真斗(3年)が、最後まで投げ切った。佐々木朗からエースナンバーを受け継いだ左腕は「自分は朗希さん(佐々木朗)とは違うタイプ。自分らしい投球を意識している」。最速125キロの直球に、スライダーとチェンジアップを低めに集め、打たせて取った。9回1失点で111球の力投だった。昨秋の地区予選、県大会でも3完投含むチーム全5試合に登板。今大会もタフネスぶりは健在だ。「朗希さんからは『頑張れ』ってメッセージをもらっていたので、勝ててよかったです」と笑顔だった。

雪辱を果たす夏にする。前川は、昨夏の決勝(花巻東戦)では7回から2番手で登板し、3回4安打3失点。佐々木朗が出場しないまま、チームも2-12で敗れた。昨秋も4-17と花巻東に大敗した。「決勝戦の悔しさを1日も忘れたことはない。毎日執着心を持って練習してきた。朗希さんも練習への執着心はすごかった」と偉大な先輩の姿勢を見習った。大船渡は県大会に勝ち進むと、花巻東対遠野緑峰との勝者と対戦する。「強い気持ちを持ってマウンドに上がりたい」とリベンジを誓った。【佐藤究】

▽大船渡・国保陽平監督(代替大会の初戦を終え)「昨年よりプレッシャーはあまりないけど、いろいろな方々の支えがあって、試合ができていると感じた。1つ1つのプレーの意味が重くて、勝敗はあるけれど、球場にいる皆さんで分かち合えたことがよかった」