釧根地区の開幕試合は釧路商・白糠・阿寒・根室連合が、霧多布を9-0の7回コールドで下した。

連合の先発、武田礼投手(阿寒3年)が被安打2、9三振を奪う好投で完封し、初戦突破に貢献した。阿寒は昨年秋から3月まで捕手の前田恭太(3年)と選手2人だけ。一緒に冬を乗り越えた相棒の好リードで、特別な夏の1勝を手にした。

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背番号2がマウンドで躍動した。武田は2回に3者連続三振、5回先頭打者には自己最速135キロの直球で三振を奪うなど、7回までに毎回の9奪三振で初戦突破に導いた。独自大会初戦で力投し「最後の夏に野球ができる。当たり前じゃない。その楽しさを感じながら投げられた」と振り返った。

受けるのは、背番号1の前田だ。昨秋から互いに投手と捕手を兼務しており、初戦は女房役になった。「甘い球は持っていかれる。常にコースをついていこう」と武田を好リードした。連合の主将も務める前田は「投手が調子が良く、守備から流れができた。やってやるんだという気持ちを出せた」と喜んだ。打撃でも初回、1番前田が出塁し先制の生還。3番武田も2安打2打点と、阿寒コンビがけん引した。

阿寒は3年生が引退した昨秋から武田と前田の2人だけで練習してきた。キャッチボールもトス打撃も、パートナーはいつも同じ。武田は「1人じゃできない練習も2人ならできることがあった。恭太がいてくれたから、ここまでやれた」。前田は「1人では自分のどこが悪いか見えてこない。お互い指摘し合うことで成長できた。僕の良き相棒」と支え合って、たどりついた最後の夏だった。

今春、1年生2人が入り4人に増えた。武田は「春がなくなり、僕らの姿勢を見せるのはこの夏だけ。しっかりやらないと」。甲子園はなくなっても、球児としての生き様を背中で示し、後輩たちに残していく。

複雑な感情を抱えながらの戦いだった。4日の中標津との練習試合では、霧多布エース中田貴耶(3年)が連合チームに加わり中堅に入った。前田は「仲間だったし、意識し合っていた。いつも以上に持っているものをぶつけた」。5回に前田が出塁すると中田貴が6回連続けん制。中田貴は6回に二塁打を放つと三盗に成功した。激しい火花を散らし合った“チームメート”の思いも背負い、最後まで戦い抜く。【永野高輔】

▽釧路商・白糠・阿寒・根室の伊藤慶一二塁手(白糠3年)(2安打3打点)「勝ててうれしい。3年生の最後に全部出し切りたい。次戦(武修館)は点は取られると思うので、初球から攻めていけるような打撃をしたい」