東北6県最後で福島の代替大会が開幕。昨夏4強の光南が昨秋県Vの学法福島を2-0で撃破し、第1シードを初戦敗退に追い込む波乱を起こした。エース国井飛河(ひゅうが、3年)が、プロ注目左腕・辻垣高良(3年)との投げ合いを制し、3安打完封勝利を挙げた。

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180センチのプロ注目投手を相手に、光南の170センチ左腕が、どでかい仕事をやってのけた。130キロ台の直球にスライダー、チェンジアップ、カーブを織り交ぜ、学法福島打線を3安打。四球も1個と、抜群のコントロールでの104球完封劇だった。

エースのプライドだった。「好投手だけど、同じ左腕として負けられない気持ちだった。初回から全力でいった」。昨年は2年生エースとして4強。準決勝で王者・聖光学院に0-5で敗れた。「今年こそ」の思いでラストイヤーに臨むも選手権は中止に。渋谷武史監督(42)が「今年の3年生32人は、最後の夏にかける思いが歴代の中でも強かった。それだけに非常に残念だった」と悔やむほど期待は大きかった。国井は「甲子園がなくなり、バラバラになりそうになったけど、絆とかのおかげで、県制覇を目標にできた」としっかり気持ちを切り替えた。

昨年からコンビを組む佐藤寿樹捕手(3年)にも助けられた。3回2死満塁から一、二塁間を破る貴重な2点適時打。8回表1死一、三塁のピンチでは、二盗を封じてくれた。「自分だけじゃなく、周りがいてくれる。周りを信じる気持ちは相手に負けないと思っている」。好投手を相手に、ロースコアに持ち込み、少ないチャンスを生かす戦いで大一番でものにした。第1シード撃破で勢いがつく。「てっぺんをとれるよう頑張りたい」と国井。最後の目標に向かって突き進む。【野上伸悟】