秋田商は湯沢翔北との延長11回タイブレークに及ぶ死闘を制した。15年の優勝以来、夏は5年ぶりに4強入り。プレーイングマネジャーを務める小山平成(たいせい)内野手(3年)が決勝3点三塁打を放った。エース石川陸斗(3年)は7回に1度降板もすぐに再登板し、134球の力投で計11回を4失点(自責1)でまとめた。由利は17安打14得点の猛攻でコールド勝ち。

20日の準決勝には昨秋4強のシード校すべてが勝ち残り、能代松陽と秋田商、ノースアジア大明桜と由利が、決勝を懸けて激突する。

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秋田商が激闘にピリオドを打った。4-4の11回無死満塁。3番小山の猛打賞となる一打が試合を決めた。2球目のスライダーを捉えると、打球はグングン伸び右翼手の頭を越える走者一掃の決勝三塁打。「今まで(石川)陸斗に頼ってきたので、何とか(走者を)かえしたいという思いが強かった」。三塁に到達すると「俺がヒーローだ」と叫んだ。

1点リードの4回2死二、三塁で、一塁手の小山は痛恨のミスを犯していた。二ゴロに打ち取りチェンジかと思われたが、二塁手からの送球をファンブル。走者2人の生還を許し、試合をひっくり返された。「本当は陸斗のために投手戦にしたくなかった。自分のミスで逆転されたので、自分で打って取り返す思いでやってきた」。石川からは「バッティングで返してくれたら大丈夫」と声をかけられ、値千金の一打でエースとの約束を果たした。

小山は昨冬、太田直監督(41)から主将より上の立場のプレーイングマネジャーに指名された。「このチームは核になる選手がいないと言われてきた。『自分がやらなきゃ誰がやるんだ』という気持ちでやってきたので、それを評価していただけたと思う」。ベンチでは誰よりも声を出し、当たりのない打者にどうやって安打を打たせるか、試合に勝つ方法を常に考える。

太田監督は決勝打の小山について「後半はミスを帳消しにするためにプレーしていた。ミスしても前向きで、それが最後に結びつく。彼に回るのが野球の面白さ、不思議なところ」。ワンチームで戦う秋田商が、5年ぶり夏制覇へまた1歩前進した。【山田愛斗】