全国高校野球選手権の代替となる都道府県の独自大会が25日、各地で行われ、東東京では二松学舎大付の身長2メートル右腕、秋広優人投手(3年)が、投打に今ドラフト候補の片りんを見せた。

初戦の文京戦に先発。相手の長身対策に手を焼いたが、要所をフォークで切り抜けた。6回から一塁に回り、4番打者としても左翼越え適時二塁打と「二刀流」発進。観戦したプロのスカウトの目を見張らせた。

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秋広が、この日唯一の雄たけびを上げた。1点をリードして迎えた5回2死満塁の危機。相手5番をフォークで空振り三振に仕留め、気合一発。身長2メートル、95キロをより大きく見せながら悠々ベンチに引き揚げた。

昨秋都大会で2回を投げて以来の公式戦。「緊張はしなかったけど、やっぱり硬くなった」。自身の最速143キロの角度ある直球は伸びを欠き、この日は初回に計測した139キロ止まり。相手の長身投手攻略のセオリーである「目線を上げずに高めを捨てる」作戦にも手を焼き、6安打3四球を許した。それでもカーブ、スライダー、チェンジアップと「一番自信がある」というフォークにものをいわせた。「後半に硬さも取れた。次は力を抜いていけそう」と手応えを得た。

背番号3ながら、あこがれる大谷翔平(エンゼルス)同様、右投げ左打ちの二刀流に挑む。高校通算22本塁打の4番打者は5回1死一、三塁で初めて申告敬遠された。「びっくりしました」。6回2死二塁から左越え二塁打。「タイミングだけ気をつけて、うまく対応できた」。膝を落とし低めの球を見やすくする工夫に「もっと(ポイントを)広く考えろ、と言われ、意識したら外も振れるようになった」との市原勝人監督(55)の助言も生かした。

二刀流の初戦にソフトバンク、阪神、日本ハムの3球団のスカウトが集まった。日本ハムの山田正雄チーム統括本部スカウト・顧問は「初めて見に来たんだが、体が大きくて、素材として魅力がある」と感想を口にした。【玉置肇】

◆身長2メートル以上の選手 プロ野球では14年に楽天でプレーしたファンミル投手が最長身の216センチ。日本選手で2メートル以上は馬場正平(巨人)1人だけで、馬場はプロレス転向後に209センチだったが、巨人投手時代は200センチで登録されていた。ドラフトで身長が明確になった66年2次以降の最長身は、16年巨人7位の廖任磊(りゃお・れんれい)投手(開南大)で201センチ。アマ球界では早大・今西拓弥投手(4年=広陵)が200センチの大型左腕としてリーグ通算6勝。