169センチの小さな左腕、甲斐一馬投手(2年)が郁文館に勝利をもたらした。1-0の逃げ切り勝ち。ヒーローは130キロ台の速球に、チェンジアップ、カーブ、スライダー、カットボールを駆使し、無四球、被安打5で明大中野を完封した。甲斐は「(完封は)中学ではあるけど、高校では初めてです」と喜んだ。

甲斐は神奈川・川崎市の出身。松井裕樹(楽天)が所属した青葉緑東シニアでプレーした。中丸敬治監督からは「松井を目指せ」と送り出された。郁文館は元プロ投手の田中幸雄監督(61)が率いる。実は同監督も川崎市の在住で、甲斐の「ご近所さん」。小学時代には同監督の野球教室に参加したこともある。そんな縁があっての進学だった。

甲斐は「優勝が目標です」と頼もしい限り。田中監督は「試合がつくれる子ですが、まっすぐのキレが欲しい。それにはもっと瞬発力をつけないと」と注文を出すことも忘れなかった。