静岡商が、今年5月に中止が決まった「第65回全国高校軟式野球選手権静岡県大会」の代替大会を制した。3チームによる1回戦総当たりのリーグ戦で2連勝。勝った方が優勝となる浜松商戦で、エース高田大輔(3年)が2安打完封。9回2死まで無安打を続ける快投で、チームを優勝へ導いた。

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静岡商の高田が、テンポの良い投球で浜商打線を抑え込んだ。横手投げからスライダーやシンカーなど6つの球種を自在に操り、9回無失点。「序盤から援護点をもらい、ゆとりを持って投げられた。余分な力が抜けコースも突けた」と胸を張った。ノーヒットノーランの快挙は逃したが「打たれると思っていたので」と冷静だった。

昨年5月に胸郭出口症候群を患い、マウンドから遠ざかった。その影響で投球フォームを見失い、苦しんだ。だが、休校期間中に自宅の塀を使って「壁当て」を行ううちに感覚を取り戻した。先月行われた県高校総体の代替試合では「球数が多かった」と不満が残った。だが、この日の試合ではストライク先行でリズムをつかみ、反省点を生かした。

同校硬式野球部のエース高田琢登は、自身と同姓でクラスメートでもある。プロ球団から注目される同級生の存在に刺激を受けているが、「すごい人だと思っていたが、今では友人として会話もできている」と明かした。

卒業後は夢だったホテルマンへの道を目指し、専門学校への進学を予定。野球とは距離を置くつもりだ。だからこそ、高校最後の試合を終え「優勝できてよかった。もう満足」と充実感を漂わせていた。【河合萌彦】

○…浜松商は優勝を懸けた試合で、2安打完封負けを喫した。先発の夏目好誠投手(3年)は、7回2安打の好投も味方のエラーなどで3失点。「最初に与えた四死球が痛かった」と唇をかんだ。元々は硬式野球部に所属し、外野手だった。1年秋の練習試合で負傷したことがきっかけで、翌年2月に軟式野球部へと移った。野球継続の意思はなく「やりきりました。後悔はありません」と話した。