長野の飯山は好投手常田(ときだ)唯斗(3年)が軸となるチームだが、試合後の吉池拓弥監督(29)は日焼けした顔で何度も「結束力」を口にした。

上田西には昨秋の県大会準々決勝で敗れた。吉池監督は「勝てるとは思わなかった」と、青年監督らしく思ったままを言った。4回に2点を先制され劣勢に。そこで、塚田佳内野手(3年)の一撃が飛び出す。4回裏、左翼中段へ運んだ。「2ストライク取られていたので、変化球が来たら諦めようと。ストレートを待ってました」。吉池監督は「あれがすべて。流れが変わった」と、たたえた。

6回1死一、三塁では、田中李樹内野手(3年)にエンドランのサインを出して決勝点を奪った。常田は5回以降を散発3安打でしのぎ、中2日で117球を投げ、6安打9奪三振の2失点完投。攻守がかみあった。

吉池監督は2年連続決勝進出に、気持ちの高ぶりを抑えながら言った。「今だから言えますが、甲子園大会中止が決まった時は、野球を諦める子もいて、どうなるか分かりませんでした。打っても走らなかったり。それが、こうして結束力が出てきました。今日の勝利は、自信になります」。10日決勝で佐久長聖と頂点を競う。【井上真】