関大北陽が、辻本忠監督(43)も感激の猛攻で大阪最後の2強になった。「最後に頼もしい姿が見られたので、試合中に泣きそうになりました」と明かした。

大院大高に2点先行を許した直後の3回、1番坂本壮梧外野手(3年)から打者2巡の猛攻を見せた。一挙11安打14得点。攻撃終了後は約5分間の給水タイムも設けられた。9点目の左越え三塁打を放つなど、3番の役割を果たした坪山雄大内野手(3年)は「うれしいです。つなぐという意識は新チームになってからやってきた」と喜んだ。

冬の猛練習が生んだ強力打線だった。12月末の1週間の追い込み期間。毎日約3時間、ひたすらティー打撃を続けた。ボールを投げてくれたのは、引退していた当時の3年生。「自分たちのために動いてくれました」と今でも感謝する。夏の甲子園中止が決まった日、努力の行きつく先を見失った。「なんのために俺たちバット振ったんやろ…」。離れそうになる同級生の気持ちを、坪山は必死につなぎ留めた。顔を合わせることが出来ない自宅待機期間中、3年生全員にメールを送った。「気持ちを切らさず、悔いを残さずやろう」と1戦1戦勝ち上がった。

みんなで入学時から抱いていたもう1つの目標。「監督もずっと言っていたので、大阪桐蔭と履正社を倒そうってみんなで自然と口にしていました」。今夏の大阪は準決勝打ち切りで、対戦はかなわなかった。それでも「自信になります」と坪山。最後の夏に確かな軌跡は残した。【磯綾乃】