日本高野連は11日、来春の第93回全国選抜高校野球大会(21年3月19日開幕・甲子園)の21世紀枠の地区候補9校を発表した。北信越では連合チームの富山北部・水橋が選ばれた。両校が学校統合で合併するため、この秋から連合チームとなり、週3度の練習で県4強、北信越大会出場(1回戦敗退)と結果を残したことが評価された。この9校から来年1月29日の選考会で3校が甲子園の出場権を得る。連合チームとしての出場となれば史上初となる。

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2つの違うユニホームでの甲子園出場に、1歩前進した。富山北部15人、水橋2人からなる富山北部・水橋は、少子化により今春再編された県立統合校の連合チームだ。

水橋は19年夏に県4強に入る強豪だったが、現在の野球部員は2人。統合を分かった上で入部した中川凌輔外野手(2年)は、父、兄も水橋の野球部で「(地区候補に)選ばれてうれしい。先輩たちの分まで頑張りたい」と喜んだ。

この秋から合同チームとなった。2人は週3日、月、水、金曜日に車で20分かけ、富山北部へやってくる。富山商OBの笹野祐輔監督(31)は「(水橋の)2人がいたから。富山北部単独チームではこんな結果にはならなかった」と2人の加入を喜んだ。主将の清水周道内野手(2年)も「勝つ経験のあるチームの選手。教えてもらうこともあった」と、存在の大きさを口にした。

富山北部は1969年(昭44)春夏に甲子園に出場。夏は2勝を挙げ「日本海旋風」と騒がれたが、その後は低迷した。現2年生は2人だけだが、13人いる1年生が中心になり、この秋の快進撃につなげた。富山大会準々決勝の未来富山戦では0-3の9回に4点を奪うサヨナラ勝ちで4強入り。北信越大会では優勝した敦賀気比に0-5と“善戦”した。笹野監督は「運です。このまま甲子園にいったら大変なことになる」と浮かれる様子なく足元を見つめ、この冬に鍛え直す覚悟を示した。

甲子園に出て勝った場合について、学校関係者は「両校の校歌を1番ずつでも歌わせてもらえるなら」と話す。史上初となる連合チームの聖地出場はなるか。1月29日の出場校選考会に注目だ。【石橋隆雄】

◆水橋 1983年(昭58)設立の県立校。普通科と体育コースがある。サッカー、陸上競技など部活動も盛ん。野球部も同年に創部された。今夏まで指揮を執った河井悟監督(52)は同校野球部の1期生。富山北部との統合のため、20年から生徒募集を停止している。現在は2年、3年生のみで生徒数は235人(女子99人)。所在地は富山市水橋中村24。佐々木啓介校長(56)。

◆富山北部 1916年(大5)設立の東岩瀬実業補習学校が前身。48年に高校の統廃合により富山北部を創設し、同年野球部も創部された。普通科、くすり・バイオ科、情報・デザイン科、体育コース(野球部6人が所属)がある。旧・富山北部(現2、3年生)は353人(女子221人)、新・富山北部は239人(女子135人)。所在地は富山市蓮町4の3の20。亀永辰之校長(57)。