昨夏のみちのく高校野球を盛り上げたもう1人のヒーローも、新たな舞台に飛び込む。聖光学院(福島)のサイド右腕・舘池亮佑投手(3年)は、来春から首都大学リーグ2部の東経大に進学する。

今夏の県独自大会では、高校初のベンチ入りながら背番号1を背負い、夏の県14連覇の立役者に。さらに東北大会でも快投を演じて優勝投手に輝いた。プロ志望届は出さなかったものの、スカウトも注目する存在に急浮上した。さらなる成長曲線を描き、4年後のプロ入りを誓った。

舘池は昨夏の県独自大会で5戦全てに登板し3完投、わずか3失点と覚醒した。続く東北大会決勝では仙台育英(宮城)を完封。「最後の夏に結果が出て、大学卒業後にプロを目指す勇気が湧いた」と、目標が明確になる自信を得た。

サイドスローが景色を変えた。2年秋までベンチ入りできず。上手投げに限界を感じ、出場機会を求めて2年生の5月にフォーム転向。元ヤクルト林昌勇投手を参考に、手足の長さを生かした横手投げを身につけた。浮き上がるような最速139キロ直球を軸に、並み居る強豪校をねじ伏せた。「大学では145キロ以上が目標。サイド特有のシュート回転で右打者には食い込み、左打者には逃げていく制球力を目指したい」と、さらなる上積みを目指す。

両親への感謝の気持ちが活力だった。2年生の6月に右肘を疲労骨折、同11月には右肘神経障がいで2度の離脱を経験。心は折れかけ、3年夏のベンチ入りも諦めかけていた。だが、寮に荷物を届けたり、練習試合に駆けつける両親に「みっともない姿は見せられない。親の支援があって野球ができている。最後までやり切る」と立ち直った。今では「親に恩返しします。プロ野球選手になったら、契約金で旅行に連れて行きたい」と誓う。

美意識も高い。丸刈りだった夏までは、汚れを落とすのに特化したシャンプーを愛用。「汗臭い男は嫌なので。メンズ用のシャンプーを使っていた」。引退後はすっかり髪も伸び「良いシャンプーに変えた」と笑う。好きな女優の今田美桜がCMを務める人気シャンプーに切り替えた。髪質にもこだわりながら、今オフはダッシュ系のメニューで下半身強化に励んでいる。「大学入学直後から、良いスタートが切れるように準備していきたい」。ブレークからまだ7カ月足らずの新星は4年後のドラフト指名のため、新たなスタートを切る。【佐藤究】