第93回選抜高校野球大会(3月19日開幕、甲子園)に2年連続14度目の出場を決めた仙台育英(宮城)には「快足男」がいる。50メートルを5秒9で駆け抜ける「走柱」の宇治野駿介外野手(2年)だ。1月下旬に行われたセンバツメンバー選考材料の測定会では、好タイムを連発して強烈アピール。駆け抜け、二塁打、本塁打、盗塁の走塁4部門すべてにチームトップの数字をマークした。昨秋は2ケタの背番号17。熾烈(しれつ)なレギュラー争いを勝ち抜き、背番号1ケタで聖地デビューを意気込む。

仙台育英の「走柱」、宇治野が自慢の足でレギュラーの座をつかむ。「持ち味はチームトップの走塁。足の速さには自信がある」と言い切る。一塁駆け抜けタイムは3秒52。昨年のパ・リーグ盗塁王、ソフトバンク周東に匹敵する驚異的な速さだ。それでも、現在地は控えメンバーで「ここから試合形式が行われる。しっかり結果を残したい」。センバツメンバー入りを懸けた“最終選別”に臨む。

「速く動ける、かつ力強く動く」をテーマに掲げる。今冬のトレーニングメニューは、野球コンサルタントの和田照茂氏(39)に教わった。宇治野は「アジリティ系メニューを取り入れ、俊敏性を高めることができた」と手応えを口にする。さらに、ベースランニングの技術も磨いた。ベースの踏む位置、ベースを蹴る際の体の傾き、最短距離で走ることを意識し続けた。「コーナリングがうまくなった。勢いを落とさずに走れている」。

盗塁へのこだわりを持つ。塁上では常に配球を考えながら、投手の全体像を観察。右投手なら背中の雰囲気で、投球かけん制かを感知する。「足が速いだけでは、成功しない。帰塁の速さとスタートする勇気も必要」とし、「スライディングでアウトかセーフかが変わる」。利き足は左だが、歩幅が合わない時は右足で滑り込む。「スイッチ・スライディング」で次の塁を進撃していく。

昨夏の甲子園交流試合はベンチ入りも、出場機会はなかった。「甲子園は夢のような場所で、感動した。(センバツでは)走塁でチームの勝利に貢献していきたい」と力を込めた。「走柱」が聖地のダイヤモンドを縦横無尽に疾走する。【佐藤究】

◆宇治野駿介(うじの・しゅんすけ)2003年(平15)4月23日生まれ、金沢市出身、埼玉・所沢市育ち。小6から所沢コスモナインで野球を始め、安松中では軟式野球部。仙台育英では2年夏の甲子園交流試合で初のベンチ入り。166センチ、67キロ。右投げ右打ち。