第93回選抜高校野球大会(19日開幕、甲子園)に出場する市和歌山が7日、奈良・生駒市内で近大付(大阪)と練習試合を行い、今秋ドラフト上位候補で最速152キロ右腕の小園健太投手(2年)が9回1失点で完投した。7球団10人のスカウトが集結。最速148キロで11奪三振だったが「ストレートが浮いて自分としては、まだまだ」と自己採点は厳しかった。

非凡さを見せたのは4回だ。無死一、二塁で4番を迎えた。速球待ちで打ち気にはやるのを手玉に取る。初球は速球の軌道だ。だが手元で曲げる。宝刀カットボールで打ち損じを誘い、投ゴロ併殺打。「打たせて取る」投球術の真骨頂だ。

池田(徳島)のエースとして甲子園を沸かせ「阿波の金太郎」の異名をとった巨人水野雄仁スカウト部参与も視察し「投球は上手。真っすぐと微妙に同じ腕の振りで(球は)内側にも外側にも行く。だから空振りも取れる。非常に楽しみ」と言わしめた。5回以降ギアを上げ、8三振を奪った。

昨秋近畿大会は22回で1失点。さらに進化し、舩津直也コーチ(28)は「真っすぐでの空振り、打ち損じが増えた。質が上がっています」と明かした。敵の速球狙いを察すると、習得に励むチェンジアップを多投。小園が「すごく効いていた」と話せば松川虎生(こう)捕手(2年)も「カウントも取れる。使える」と納得だ。

22日の初陣は県岐阜商と戦う。小園は、強打の高木翔斗捕手(2年)封じに「抑えることでチーム全体に勢いがつく」と気合。広角打法で「タイプが松川」と重ねる。初の甲子園へ。主役のシナリオを描く。【酒井俊作】

▽市和歌山・半田監督 今日は9回を投げるつもりで調整してきた。8回に聞いても「まだ、全然、行けます」と。中盤、球が上ずる場面もありましたが、試合の中で修正できた。

▽広島鞘師スカウト 球種が豊富で器用。真っすぐがもっと走れば、もっと威圧感が出る。けん制、クイックできる。完成度は高い。

▽ヤクルト阿部スカウト いろんな球種を操れる。総合力は高い。ギアを上げれば三振を取る投球もできる。速球の平均球速も高い。

▽ロッテ三家スカウト 変化球も多彩でなかなか打者は的を絞りづらい。速球にツーシーム、カットボールで打者は戸惑う部分がある。

▽オリックス谷口スカウト テンポが良かった。完投して、それだけで十分。ペース配分して、変化球が多めで、まだまだよくなる。

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