第93回選抜高校野球大会(19日開幕、甲子園)に21世紀枠で初出場する八戸西(青森)は「全国2勝」を目標に掲げる。同校のある八戸市は、明治時代からスケート文化が根付き、「氷都」の異名を持つ。連載「甲子園で輝く! 氷都七星」と題し、チームの主力7選手を紹介する。

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甲子園のマウンドに長身エースがそびえ立つ。八戸西の189センチ右腕・福島蓮(2年)が全国デビューする。昨秋は背番号1を背負い、地区予選から全9試合に登板(先発8試合)。5完投(1完封)の剛腕ぶりを発揮した。最速143キロの直球、鋭く落ちるフォークを投げ下ろし、東北大会8強の原動力になった。「秋に得た自信は大きい」と納得の表情で振り返る。

一冬を越え、キレが一段と増した。ウエートトレーニングで下半身を徹底的に強化。ネットスローで投球動作を確認。足を上げてから股関節にためをつくる意識を植え付けた。さらに、同校OBの元日本ハム投手で外部コーチを務める中村渉さん(41)の助言も参考にしながら、元プロの教材を成長の糧にした。福島は「秋よりも真っすぐの質と制球力は良くなった」と手応えを口にした。

体もひと回り大きくなった。入学当初は186センチ、59キロ。小川貴史監督(37)は「衝撃でしたね(笑い)。モデル体形でした」と当時を振り返る。昨秋以降は、どんぶり2杯の白米を1日のノルマに設定し、体重増加を目指した。母由香子さんのサポートもあり、現在は72キロ。秋と比べると7キロ増だ。まだまだ細身だが、着実にスケールアップしている。福島は「正直(食べるのは)大変ですね。母のためにも、甲子園で恩返ししたい」と結果で応える。

甲子園初戦は大会3日目(21日)の第1試合、具志川商(沖縄)と対戦する。「チーム目標は甲子園2勝なので、自分は投球で貢献していきたい」。初の聖地で快投を演じ、全国区に名乗りを上げる。【佐藤究】

◆福島蓮(ふくしま・れん)2003年(平15)4月25日生まれ、青森・八戸市出身。小4から青潮ファイターズで野球を始め、湊中時代は軟式野球部に所属。八戸西では1年春からベンチ入り。189センチ、72キロ。右投げ右打ち。家族は両親と姉。好きなプロ野球選手はエンゼルス大谷翔平。