今秋ドラフト候補で最速152キロ右腕の市和歌山・小園健太投手(3年)が甲子園デビューし、完封勝利を挙げた。9回130球で4安打8奪三振。球場の球速表示の最速は147キロだった。チームはサヨナラ勝ちで、初戦を突破した。

「序盤、すごく苦しかった。チームメート一丸になって、打ってくれてうれしかった」

立ち上がりは制球に苦しんだ。「初めての甲子園で緊張していた。自分の持ち味の制球力を出せなくて、少し悔しい。甲子園練習がなくて、甲子園がどのような感覚、視界が全然、分からなかった。すごく広くて少し戸惑って球が上ずってしまいました」。それでも感覚をつかめば、本来の小園らしい投球を見せた。ツーシーム、カットボールを内外角に使い分け、3者連続で空振り三振も奪った。

8回は2死走者なしから2四球を与えてピンチを背負った。さらに伊藤への初球を投げた後、敵将の鍛治舎監督が代打の行方を告げる。その直後だ。自らの二塁けん制悪送球で一、三塁のピンチに広がった。だが、行方を外角スライダーで空振り三振。エースらしく踏ん張って窮地を脱した。 「僕としては途中で代わってくれた方が(相手打者は)初見でありがたかったです」

鍛治舎監督率いる県岐阜商は送りバントを多用。5犠打を決められ、9イニング中、6イニングで得点圏に進まれたが冷静だった。「エンドランとか仕掛けてくるチームだと思っていました。バントしてくれるのは、自分としては二塁に走者を背負っても、バントはありがたかった」と振り返った。プロ12球団のスカウトが集結する前で、持ち味を出した初陣だった。