掛川西(県2位)が、愛知王者の愛工大名電を6-1で破り、優勝した2009年以来、12年ぶりの決勝進出を果たした。

2回2死三塁で7番中山一輝外野手(3年)が、左越えの先制2ラン。前日22日の1回戦・津商(三重1位)戦に続く2試合連続アーチで、チームに勢いを与えた。チームは、24日の決勝戦で享栄(愛知2位)と対戦。県勢としては、16年常葉学園橘(現常葉大橘)以来の優勝を目指す。

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掛川西・中山が、愛知の名門に先制パンチをくらわせた。自身初となる公式戦での2戦連発弾に「打ったのは甘く入ったまっすぐ。相手が左投手だったので、体が開かないように意識していた」。打球は左翼へ、風にも乗って伸びていった。「逆方向へ飛んだのは、球をよく見て引きつけられている証拠。良い傾向だと思う」と満足げだった。

昨秋は4番に座るも、不調。チームも県大会初戦で敗れた。「『打ちたい』という思いが強く、打席で体が前のめりになった」。大会後も調子は上がらず、春の県大会ではレギュラーからも外された。自身を見つめ直し、練習ではセンター返しを意識するように。県決勝の藤枝明誠戦でスタメン起用され、2安打で感覚を取り戻した。

その後の練習でも快音を響かせ、復調を実感するようになった。東海大会では「思い切っていく」と、津商との1回戦・第1打席でいきなりの右越え2ラン。「初球や1打席目など“1”という数字にこだわっている。そこでどうするかで、勝負は決まる。無駄にはしたくない」と、この日も初打席で1発を放ち、考えを結果で証明した。

4番の座へのこだわりも見せ「死ぬ気で奪い返したい」と、鼻息を荒くする。12年ぶりの東海制覇へ、決勝ではプロ注目投手を複数擁する享栄が相手だ。「自分のスイングを意識して臨みたい」。培った自信を力にし、チームを勝利へ導く一打を放つ。【河合萌彦】