春9度の優勝を誇る東海大札幌が、2年生バッテリーの躍動で強豪対決を制した。昨秋全道8強の駒大苫小牧を2-1で下し、13年ぶりの優勝に向け初戦を突破。左腕エース門別啓人が6安打1失点完投で、唐川侑大捕手の中越え本塁打で挙げた2点を守り切った。開幕戦では札幌静修が、公式戦初先発の常谷拓輝投手(3年)が3失点完投で7年ぶりの全道1勝。北照は士別翔雲を破った。

   ◇   ◇   ◇

北照が「ゆうじろう野球」で初戦を突破した。試合前練習で岡崎愛斗三塁手(3年)が負傷し離脱。エース佐野怜弥(3年)は5回途中で右足のスパイクのひもが切れるなど、アクシデントが続いたが、控え選手に借りて付け替え9回8安打1失点で完投した。「ひもが切れた5回に崩れかけたが、大河(恭平)部長に『もっと足をつかって投げるように』と助言を受け修正できた」と振り返った。

地区予選突破後、ベンチ外の佐野光輝内野手(3年)の提案で、新モットーが定められた。ゆ=勇気、う=うまいより強い選手、じ=準備と確認、ろ=ロマンと我慢、う=運を呼ぶ行動と言葉を当て、地元小樽を代表する有名人、石原裕次郎に絡めた。トラブルが起きても冷静に勝利をつかみ佐野怜は「全部はまだできていないが、少しずつ実践できた。これからもっと、ゆうじろう野球を詰めていきたい」と意気込んだ。

▽1番打者で3安打1打点の北照・小田切順正主将(3年) 1、2番がしっかり出塁して後ろにつなげた。(試合前に三塁手の岡崎が負傷し)アクシデントがあった中、まずは勝てて良かった。

○…士別翔雲は春夏計10度甲子園出場の強豪に「小笠原バッテリー」で食い下がったが、18年以来の勝利には届かなかった。エース小笠原大翔(ひろと)と聖生捕手(せお、ともに3年)は親戚ではないが1年時からバッテリーを組む。大翔は「聖生がうまくリードしてくれて、やりたいことはできた」。聖生は無観客での公式戦に「気持ちを上げるのが難しかった」と感想を口にした。

▽士別翔雲・渡辺雄介監督(39)「今朝出発前に保護者の方が横断幕を持ち見送ってくれたり、高野連の方の計らいで、地元の関係者の方に試合動画を見せることができた」