八戸学院光星が、10-5で八戸工大一に逆転勝ちし、2大会ぶり13度目の優勝を秋春連覇で飾った。

持ち前の粘りと勝負強さを発揮。2点を追う8回、打者一巡(計11人)の攻撃で一挙7点を奪って形勢を逆転した。

3位決定戦は、東奥義塾が7-0の7回コールドで八戸工大二に快勝し、本命の「夏」に向けて弾みをつけた。

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八戸学院光星が昨秋王者の意地を見せた。勝ち越しを許すたびに同点に追いつく粘りを見せ、3度目の最後はチーム一丸で突き放した。初戦の2回戦(青森山田戦)から延長10回で勝利した前日23日の準決勝(東奥義塾戦)まで3戦連続の1点差勝ち。この日も8回まで1点を争う展開に、仲井宗基監督(50)は「攻め崩す野球ができていない。勝っても勝ち方を求められるから大変かな」と選手を気遣う一方で、発展途上を強調した。

同点に追いついた直後に再び2点差をつけられた8回表の絶体絶命の窮地。精神的ダメージも増す中、諦める選手は1人もいなかった。逃げ切りを図った相手の2番手投手を全員で攻略。2四死球が絡んだ1死満塁で2番久守雄志(3年)の左前2点適時打で振り出しに戻し、続く一、二塁から3番横山永遠(とわ、3年)の二塁打で勝ち越した。背番号「1」で左翼の守備についた横山は「打ったのはインコースの真っすぐ。(前打席まで)ずっとインコースだったので狙っていました。投手陣が苦しんでいたので楽にしたかった」とエースの務めをバットで果たした。

苦闘を物語るように、優勝を決めた選手たちに派手なアクションはなかった。チームは夏春合わせて20度の甲子園出場で全国準優勝3度の伝統を背負う。コロナ禍の中、甲子園が中止になった昨夏の独自大会は3年生だけで戦い、現チームに夏の経験者はいない。仲井監督は攻撃力を課題に掲げ、さらに核になる選手がまだ現れない中で個々の精神的成長にも期待する。

横山は「追われる立場で勝てたことを力にしたい。夏までに投手としても、バッターとしても1、2段階レベルアップして絶対に甲子園に行きたい」と力を込めた。【佐々木雄高】