5年ぶり13度目出場の北海道栄が、遠軽に6-5の延長10回サヨナラ勝ちで、初戦を突破した。昨秋に投手から転向した奥山陸也捕手(3年)が、サヨナラスクイズを決めるなど3安打4打点で勝利に導いた。白樺学園は昨秋全道8強の札幌光星に6-4で競り勝った。クラークは札幌平岸に10-0の5回コールドで1回戦を勝ち上がった。

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“笑わない左腕”が流れを呼び込んだ。白樺学園が札幌光星に競り勝ち、春全道は4強進出した16年以来、5年ぶりに初戦突破した。6回無死一塁から2番手で登板した左腕の原田一輝(3年)が、出場16校中1位の5割6分を誇る札幌光星打線相手に4回1安打1失点と好救援。「反省点もあるが、何とか抑えられて良かった」と淡々と話した。

ピンチでも表情ひとつ変えず、ポーカーフェースを貫いた。好きな投手は楽天涌井。「どんな状況でも顔に出さずに、落ちついて投げる姿を参考にしている」。2点リードの9回、2死一、二塁とされたが踏ん張った。最後の打者を遊飛に打ち取ると、ほおを緩めることなく、クールに整列に加わった。

地区予選から4戦連続でエース右腕葛西凌央(3年)と原田の継投で勝ち上がってきた。この日は強力打線相手に慎重になり6四球を与えたが、戸出直樹監督(45)は「いつもひょうひょうとしている。四球を出しながらも粘り強く投げてくれた」とたたえた。原田は「次も葛西とうまくつないでいけたら」。スキー・ジャンプ界のレジェンドのような名字2人のリレーで、春の飛躍につなげる。

▽白樺学園・宍倉隆太主将(3年)次は昨夏の北北海道大会で負けたクラークなので、先輩たちの借りを返したい。

▽札幌光星の合坂真吾監督(44) 流れがきてもミスがあったり、なかなか糸口がみえないゲームでした。

▽8回5失点の札幌光星・松崎慎斗投手(3年) 調子はそこまで悪くなかった。(相手は)振ってくれるだろうという球を振ってくれなかった。

◆白樺学園の春全道 札幌光星戦の勝利で通算14勝目。今回で9度目の対戦となった対札幌勢は、11年準々決勝でセンバツ帰りの北海を下して以来、通算3勝目。過去の最高成績は、北北海道勢としても最後の決勝進出となっている11年の準優勝。14~16年まで3年連続の4強入りがある。

札幌光星 地区3戦46得点の打線が6安打に終わり、初戦で敗れた。1-2の5回1死二、三塁から藤原葵生(あおい)三塁手(3年)の右前2点適時打で逆転したが、リードはここまで。2点を追う6回以降は4イニング連続で得点圏に走者を進めたが、あと1本が出ず1点を返すにとどまった。藤原は「打球のスピード、スイングスピードからもう1回やっていかないと」と課題を口にした。