札幌日大が延長10回の末、昨夏の北北海道大会優勝のクラークを5-3で下し、3年ぶりの決勝進出を果たした。10回1死から途中出場の山村貫太一塁手(3年)が勝ち越しの左越え本塁打を放つなどチーム3発で、春は初の全道制覇に王手をかけた。

札幌日大が本塁打攻勢で競り合いをものにした。2回に森順哉一塁手(3年)の左越えソロで先制。1-1の6回1死から久保田陽喜遊撃手(2年)の左アーチで再び勝ち越し。同点の延長10回1死には、8回から途中出場の山村がかっ飛ばした。「内角の直球に体がうまく反応できた」。この日最初の打席で左翼芝生席に勝ち越し弾をたたき込み、シーソーゲームにけりをつけた。

殊勲の山村は「こういう状況で回って来ることは意識していた」。地区予選では札幌藻岩との代表決定戦の5回1死二、三塁から代打で1打席立ったのみ。その際も右翼線に2点適時二塁打を放ち5回コールド勝ちに貢献した。この春2打席目は決勝弾。少ないチャンスで尽力した打率10割男は「追い込まれても打てると信じて打席に立っているので」と、強い口調で話した。

地区予選から27日の準々決勝(旭川大高戦)まで6戦で、チーム本塁打は地区代表決定戦の1本だけ。森本卓朗監督(40)は「本塁打は計算できることではない。チャンスをヒットでつなぐことが大事」と言う。この日は12安打5得点。安打狙いのしっかりしたスイングの延長が、貴重な3本塁打につながった。

今大会通算で10本の本塁打が生まれているが、1チーム複数本塁打は初。山村は「決勝も全力で臨むだけ」と意気込む。チームは01年秋に全道優勝しているが、以降は3季通じて道大会決勝5連敗中。準優勝続きの歴史に終止符を打つべく、長短自在の打撃で、初の春王座を狙う。【永野高輔】