春季北信越高校野球大会は5日、ハードオフ新潟ほかで開幕する。

小松大谷(石川1位)と対戦する県1位・新潟産大付は県大会の打率4割7分超の小林和貴遊撃手(3年)が攻撃をけん引する。県2位・関根学園は松商学園(長野1位)と対戦。滝沢夏央遊撃手(3年)が走攻守投の“4拍子”そろったプレーでチームを上位へ引き上げる。    ◇    ◇    ◇

滝沢の野球能力はマルチだ。打つ。走る。守る。そして投げる。どんなプレーもスキルは高い。3番打者で出場した県大会は6試合25打数10安打の打率4割。最大8点差を逆転した準々決勝の北越戦では11-11の9回無死一塁で左中間へサヨナラ三塁打を放った。安川巧塁(よしたか)監督(29)は常に「滝沢の前に走者をためろ」とナインに指示。その期待を力にする強心臓の持ち主で、50メートル走5秒8の俊足で大会6盗塁も決めた。

初戦の相手は松商学園だが、滝沢の視線の先は2回戦(準決勝)で対戦の可能性がある敦賀気比(福井)を見ていた。昨秋の北信越準決勝で同校に延長10回、4-5のサヨナラ負け。敗戦のマウンドに立っていたのが滝沢だった。「昨秋のリベンジをしたい」。マウンドは県大会でも経験し、3試合で救援。14回を投げ1失点、防御率は0・64だ。配球は打者の立場から相手の心理を読み組み立てる。「気持ちで投げる」と強気な投球も真骨頂で北信越の登板準備も万全だ。

守りでも内野の要で「ヒット性の当たりをアウトにする」というプレーに喜びを感じている。安川監督が「ウチの主役は滝沢。すべてにうまいが、てんぐにもならない」と信頼を寄せる。「3拍子そろった選手になることが目標」と話す滝沢は能力のすべてを駆使して大暴れする。【涌井幹雄】

◆滝沢夏央(たきざわ・なつお)2003年(平15)8月13日生まれ、上越市出身。城西中卒。野球は保育園児の時、三郷タイフーンで始める。中3でKボールの県選抜に選出。高校では1年春から1桁背番号を背負う。右投げ左打ち。165センチ、65キロ。