優勝候補のノースアジア大明桜が準決勝に駒を進めた。

秋田南を2-0で撃破。先発した最速141キロ右腕、石田一斗(いっと)内野手(3年)が9回3安打無死四球で完封勝ち。140キロ台の直球をテンポ良く投げ込み、決め球のスライダーは低めに制球。2回以降は毎回の12奪三振をマークした。

大館桂桜は、10安打7得点の猛攻で秋田北鷹に7回コールド勝ち。春の地区予選で敗れた雪辱を晴らした。

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堂々の快投劇を演じた。背番号6の石田一が9回を投げ切り、3安打無失点。2-0の9回2死。最後の打者を左飛に打ち取った。グラブをパンパンとたたき、仲間とハイタッチ。111球で公式戦初の「9回完封」を飾った。「完投する気持ちで試合に臨んだ。自分の投球で攻撃につなげたかった」。初回から5回までは、打者3人ずつで抑えるなど、テンポ良くアウトを積み重ねた。

生命線は抜群の制球力と2種類のスライダーだ。スライダーは、藤井寺ボーイズ(大阪)時代に習得。ユーチューブでツインズ前田健太投手(33)の握りを参考にした。石田一は「(前田さんの)握り方を見て、自分の投げやすい握り方に改良した。今では一番自信のあるボール」。変化パターンは縦と横。親指の位置を変えながら、変幻自在に操る。2回以降は毎回の12奪三振をマーク。“伝家の宝刀”スライダーがさえ渡った。

高校での投手歴は短い。入学当初から主に内野手でプレー。今春から投手兼任でチームの勝利に徹する。今秋ドラフト上位候補で、東北NO・1の呼び声が高い最速153キロエース右腕、風間球打(きゅうた)投手(3年)に次ぐ存在としても台頭してきた。輿石重弘監督(57)は「スライダーのコントロールが良いし、テンポ良く投げられる」と信頼を寄せる。石田一は投手としての醍醐味(だいごみ)を口にする。

「投手が投げないと野球は始まらない。自分が1番高い所(マウンド)にいるので、しっかり抑える気持ちを持っているし、好投すれば誰よりも輝ける場所」。

次戦は7日、昨秋の県大会初戦で敗れた大館桂桜との「因縁対決」だ。「1度負けた相手に、2度も負ける訳にはいかない」と闘争心を燃やす。秋に味わった悔しさは、春の舞台できっちり返してみせる。【佐藤究】

○…夏につながる投球だった。先発したサイド右腕、秋田南・塚田将正(2年)が8回を4安打2失点の好投。最速139キロの直球を軸に、変化球を織り交ぜながら打たせて取った。4回に3安打を許し2失点したが、立ち上がりから3回までは完全投球を披露した。「負け投手にはなってしまったけど、自分の投球はできたと思う。夏まで残り1カ月あるので、粘り負けないようにやっていきたい」と力を込めた。