大阪桐蔭を率いる西谷浩一監督(51)は、春季四国大会を制覇した高知とのダブルヘッダーに連勝しても表情を引き締めていた。今秋ドラフト上位候補の森木大智投手(3年)に9安打を浴びせて3点を奪ってますます手綱を締めた。

「攻めあぐねました。こういう投手を打たないと甲子園で勝てない。たたみかけるところはもっとたたみかけないと。もう少し得点しないといけないですね」

3月のセンバツは智弁学園(奈良)戦で初戦敗退の屈辱を味わった。投打ともにチームの再強化を行い、いまも強化練習を続ける。16日開幕の大阪大会は順調に進めば18日に大院大高と摂津の勝者と初陣を迎える。「開幕までにしっかり仕上げたい」と油断はない。

期する思いがある。センバツを制覇し、甲子園春夏通算4回優勝の東海大相模(神奈川)を率いる門馬敬治監督(51)が1日に今夏限りでの退任を発表していた。同い年で、ともに高校球界をリードしてきた盟友だ。退任の思いを問われると「前の日に電話をもらいました。詳しく聞いていないので、まだ分からないので、コメントはないですけれども」と胸中を察し、多くを語らなかった。強豪校で、周囲から「勝って当たり前」とみられる重圧と戦う共通点もあるだろう。昨夏の甲子園交流試合では、初めて公式戦で戦い、熱戦を制した。試合後、両校の指揮官はこう評している。

西谷監督 最高の相手と最高の球場でやらせてもらった。鍛え上げられたチームだと思いました。

門馬監督 (決勝打の薮井に)ファウルで粘られ、投げる球がなくなった。大阪桐蔭の点に対する執念を感じました。

あれから間もなく1年がたつ。この日、高知との2戦目では4番の花田旭外野手(3年)が2打席連続アーチを放つなど、投打ともにスケールアップを図っている。春夏7度、甲子園優勝の西谷監督は負けても野球にひたむきに向き合うナインの姿を見てきた。「このままでは終われないチームだと感じました。気持ちがあるチームなので、なんとかしてやらないといけないという気持ちも持っています」。東海大相模や名だたる強豪を倒して夏の日本一へ。投打に、そしてハイレベルな守備も光る常勝軍団に心のスキはない。【酒井俊作】