鹿児島大会は4日、1回戦6試合が行われ、優勝候補・神村学園の今秋ドラフト候補で最速148キロ左腕、泰勝利(たい・かつとし)投手(3年)が3回無安打無失点で5回コールド発進に貢献した。

スライダー、カットボール、チェンジアップを封印し、貫禄のオール直球勝負でねじ伏せた。6月上旬に最速を更新したばかり。19年以来6度目の夏の甲子園へ上昇気配だ。

 ◇  ◇  ◇  

泰が「父は昔から強気で、子供に名づけると決めていた」という名のごとく、強気の攻めで“勝利”をつかんだ。

「思い切り投げても軽く投げても球速が変わらなかった」という力みのないフォームから、直球だけを投げ込んで3回無安打無失点。スライダー、カットボール、チェンジアップを封印しながら打者11人を37球で封じ込めた。外野への飛球もわずか2度。プロ注目のパワーを見せつけた。

奄美大島の出身。成長を期し、春夏通算10度の甲子園出場を誇る強豪の門をたたいた。入学当時、最速は110キロ台だった。だが、1年時はけがなどもあり、体づくりに重きを置いたことでスピードアップにつながったという。

5月、夏の前哨戦の県選抜大会1回戦で、優勝した鹿児島城西に敗れた。「力が出せず負けた」と悔しさもバネに、6月上旬の練習で最速を148キロに更新。小田大介監督(38)は特に今春からの成長について「大崩れしなくなった。四球を連発して置きにいったボールを打たれることが少なくなった」と認める。

この日、阪神の3人をはじめ日本ハム、中日のスカウトが視察。中日三瀬スカウトは「スピードが上がり順調に成長している。ボールの質が素晴らしい。もっと直球が低めに集まり出せば、手も足も出なくなると思う」。将来が楽しみな鹿児島NO・1左腕だ。【菊川光一】

◆泰勝利(たい・かつとし)2003年(平15)11月11日生まれ。鹿児島・奄美大島(瀬戸内町)出身。野球は小4から本格的に瀬戸内ファイターズで始める。阿木名中では軟式合同チーム所属。神村学園では昨秋の新チームからエース。左投げ右打ち。173センチ、78キロ。