絶対王者・聖光学院の夏が開幕した。いわき光洋を8-1、7回コールド発進した。「5番三塁」で先発出場した今井龍空(るうく)内野手(3年)が逆転3ランを含む2安打3打点と大活躍。スタンドで見守る父宇志さんに、成長した姿を届けた。

昇り龍のように打球が高々と舞い上がった。0-1の1回2死一、三塁。右打席の今井が鋭い眼光でバットを構える。カウント0-1からの2球目。甘く入った内角直球を振り抜いた。打球は滞空時間の長い軌道を描き、左翼芝生席で弾んだ。「内角直球をフラットに捉えられた」。うれしい高校初本塁打は、夏初戦で飛び出した。

背番号5を背負い、打順でも中軸を担う男の名前は「龍空(るうく)」。曽祖父龍吉さんから「龍」の1文字をもらい、「大きい心を持って、龍のように空に向かって飛んでいってほしい」という願いを込め、命名された。チーム内ではムードメーカー的存在。主戦場のホットコーナーでひときわ大きな声を出し、仲間を鼓舞する。「サードというポジションなので、みんなにエネルギーを与えたい」と、聖光の“熱男”でもある。宇志さんは「昔から元気のある子だった。良い仲間と指導者の方々に恵まれて、野球以前に、人として自信を持っているように感じます」と成長した姿に目を細めた。

2年ぶり開幕の夏の甲子園。和歌山中(現桐蔭)に並ぶ14大会連続出場がかかるが、今井は「特別な意識はない。1試合1試合を死ぬ気で戦っていく」と闘志を燃やす。福島、夏の頂点へ-。龍のごとく一気に駆け上がる。【佐藤究】