高校野球福岡大会は12日、各地で2、3回戦が行われた。春夏連続の甲子園出場を目指すセンバツ8強の福岡大大濠は、6-0で博多を下し、4回戦へ進出。

プロ注目の最速140キロのエース左腕・毛利海大投手(3年)が微熱により登板回避し、緊急先発した左腕の森本光紀投手(2年)が、自身公式戦初の完封&完投を演じた。「毛利さんのためにも次につなげる」と、エースの無念を背負った2年生左腕が快投した。

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試合当日の朝に決まった先発マウンドで、2年生左腕が躍動した。福岡大大濠・森本光紀投手(2年)が、自身公式戦初の完封&完投。9回を126球4安打5奪三振で、4回戦進出へ導いた。「いつも準備をしているので『今日先発』と言われた時もびっくりはしませんでした」。緊急登板でも、堂々と腕を振った。

先発予定だったプロ注目の最速140キロのエース左腕・毛利海大投手(3年)は、前日11日に微熱を発症。新型コロナウイルス感染が心配されたが、抗原検査では陰性を示した。ただ、試合当日になっても熱は下がらず。早朝に八木啓伸監督(43)は、2回戦で5回無失点と好投した森本を先発に抜てきした。

森本 「毛利さんが投げずにこの大会が終わったら…」って考えると、絶対に抑えないといけない気持ちがあった。毛利さんのためにも、次につなげるという気持ちで投げました。

八木監督も「非常に助かった。0に抑えたので自信にしてほしい」と、ねぎらいの言葉をかけた。バットでは2回に決勝点となる先制適時打を放つなど2安打。尊敬するエースの不在を救った。

童話「ウサギとカメ」の「カメ」の精神で、地道に力をつけた。同じ2年生右腕の馬場拓海投手(2年)は先に公式戦デビュー。今春のセンバツ準々決勝にも先発した。森本は八木監督に「カメになりなさい」と指導され、焦らずに鍛錬を重ねた。「馬場がいいピッチングをしていると、『自分ももっと練習しないといけない』と思う。(高校に)入った時からカメだと思ってやってます」。チームメートでライバルに先を行かれていたが、森本も成長スピードを上げてきた。

「毛利さんがひとりで投げないといけないなら、きついと思う。自分がしっかりいけるところを見せていかないと」。今夏の福岡大大濠には、頼もしい2年生がいる。【只松憲】

◆森本光紀(もりもと・こうき)2005年(平17)3月23日、兵庫県西宮市生まれ。野球は高木小1年からビクターズ(軟式)で始める。瓦木中では楽天田中将も所属した宝塚ボーイズでプレー。50メートル走6秒8。遠投80メートル。趣味はスポーツ動画を見ること。好きな食べ物はラーメン、嫌いな食べ物はトマト。家族は両親と兄。179センチ、78キロ。左投げ左打ち。

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