取手二が延長で古河一を破り、この試合から監督として指揮を執った下田和彦監督(54)が初陣を飾った。

4-4の同点で迎えた延長10回表。1死満塁で打席には8回に同点の中前適時打を放った大野郁哉捕手(3年)。下田監督は「今日の大野はラッキーボーイ。きっとここで決めてくれる」と、手堅くスクイズのサイン。大野はアウトコースの真っすぐを三塁線へ転がし勝ち越しを決めた。「いつもはみんなに助けてもらっている。今日こそは僕がチームを救いたいと思いました」と喜びに沸くチームメートの横で、安心した表情を見せた。

初采配を終え、下田監督は第一声「しびれましたね。簡単には勝てない。高校野球最初の試合で、いい経験ができました」と笑顔を見せた。

下田監督は84年、取手二が甲子園で優勝したときのメンバー。昨年まで、中学の軟式チーム「取手ファイトクラブ」の監督を務めていた。今春、取手二の監督を務めていた後藤賢氏の定年に伴う人事異動のため、OBである下田氏に白羽の矢が立った。今年4月からコーチとしてチームに携わり、この夏の大会から監督として指揮を執っている。

38年ぶりに袖を通した「取手二」のユニホームに、下田監督は「ワクワクしましたね」と満面の笑みを浮かべた。恩師の木内幸男元監督(享年89)は昨秋に他界。「このユニホーム姿を見て欲しかった。『あの下田がねぇ~。ガハハハ』って。天国から見て笑っているでしょうね」と、恩師をしのんだ。「私の思いはただひとつ、取手二をもう一度盛り上げることです」と力を込める。強豪・取手二の復活へ。今、動きだした。

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