明石商が快勝発進だ。1回に1点を先制し、3回にも加点。一気に突き放したのは4回だ。1死満塁で谷村莉月捕手(3年)がスクイズを決めたほか、岡原圭佑内野手(2年)が右翼フェンスに直撃させる走者一掃の適時二塁打をマーク。5点を奪った。プロ注目の福本綺羅外野手(3年)は4打数2安打1打点。パワフルなスイングを披露し、複数球団が視察する前で持ち味をみせた。

昨季まで同校でプレーしたオリックスのルーキー来田涼斗外野手(18)がこの日、プロ初本塁打など3安打の活躍。狭間善徳監督(57)は「なかなか素晴らしいホームランだった。速攻でいろんなところから(連絡が)来た。昨日、電話がかかってきて、スタメンで出るというから『絶対に引っ張るなよ。反対方向に打てよ。力が入って、ボールの頭をたたいてボテボテのゴロになるのか、ファウルでいい当たりになるか』。あのホームランは、その(助言の)気持ちがあったかも。前に壁ができていた。内側のシュートっぽい球をうまいことさばいている。あれをフェアグラウンドに入れたから。聞いてみな分からんけど」と舞台裏を明かした。

先輩の奮闘に負けじと後輩たちも意地を見せた。同校は19年甲子園で春夏連続4強の強豪だ。指揮官は「みんなに力をもらっている。(チームが)来田に引っ張られたら明石商は終わりや(笑い)。まあ、でも、みんな場所場所で一生懸命頑張っているのが明石商業の良さ。それが今日の勝ちに結びついているのかな」と振り返った。

この日の試合前、球場到着後、狭間監督がナインに来田先輩の初アーチを報告すると「オーッ」と歓声が上がった。「拍手は起こったけれど、拍手はまばらだったけれども」と冗談を交えて明かした。今春の県大会は1回戦で神戸弘陵に0-10でコールド負けを喫していた。明るい明石商が帰ってきた。巻き返しの夏へ、先輩とともに好発進した。

▽広島鞘師スカウト(福本について)「体も大きいし、来田君みたい。プレースタイルも似ているかな。肩も足もある。バランスがいい素材です」

▽ロッテ榎アマチーフスカウト(福本について)「(1回の左前打は)変則左腕投手でも、自分のフォームを崩さず打てていた。足もあるし、スイング自体も強い。体が強いイメージですね」