<高校野球群馬大会:渋川8-1桐生>◇19日◇3回戦◇高崎市城南野球場

背番号「11」が、最後の夏に輝いた。桐生の矢崎翔真投手(3年)が、今夏初登板で初先発。しなやかな投球フォームから繰り出される多彩な変化球で、凡打の山を築いた。「緊張しましたが、何失点かはOKという気持ちで入りました」と、左腕の上村晟投手(3年)と白熱する投げ合いを演じた。前半戦はお互いに1歩も譲らず、テンポよくスコアボードに0を刻んだ。

だが、グラウンド整備中断明けの6回に、落とし穴が待っていた。先頭に安打を許すと、味方のエラーも絡み、2死二、三塁のピンチを招いた。「絶対に先に失点したくありませんでしたが、粘れませんでした」。3、4、5番に3連続適時打を許し4失点。唇をかんだ。

遊撃から救援した荒谷真之介主将(3年)も悪い流れを止められず、チームは2イニングで8失点。7回コールド負けで、3回戦敗退となった。

しかし、矢崎は「5回までは予想以上の投球ができました」と成果も口にした。「1、2回戦と出れなくて、今回初めて出してもらった。悔いなく終われたかなと思います」。涙をぬぐう目には、輝きがあった。