打球の行方を見た前橋育英・佐藤大我内野手(3年)は「確信はありました」と勝利を信じた。3-3の9回1死満塁、関東学園大付・篠原の直球を振り、中堅へサヨナラ犠飛を放った。

5回までに2点リードを奪うも、7回に追い付かれた。打線は好機で1本が出ず、じりじりした展開が続いた。荒井直樹監督(56)は「本当に苦しい試合でした」。打破したのは、キャプテンだ。3-3の9回、皆川岳飛主将(3年)が中堅から3番手でマウンドに上がった。今大会4試合目での初登板は、荒井監督が「最後は皆川と思っていた」という奥の手だった。

皆川は「直球で真っ向勝負して、打線に勢いをつけよう」と直球中心に攻めた。二ゴロ、二ゴロで、最後は空振り三振。3人目の初球には、自己最速を2キロ更新する147キロをたたき出した。

4番で高校通算26本塁打。この夏も、前の試合まで3試合連続本塁打を放っていた。この日は3打数無安打、1申告敬遠と快音は聞かれなかったが「監督からも『打てなかったら守れ』と言われています。自分の仕事ができました。自分たちの野球は守りからリズムを作る。心掛けたい」と堂々と言った。投打二刀流の頼れるキャプテンが、2年ぶり甲子園を目指すチームを引っ張っている。