<高校野球東東京大会:二松学舎大付7-0高島>◇23日◇4回戦◇駒沢球場

64年の東京五輪開会式で流れた「オリンピック・マーチ」を作曲した古関裕而氏は、高校野球とも縁が深い。全国選手権の大会歌「栄冠は君に輝く」を手がけたのは有名な話。だが、この日、駒場オリンピック公園内で行われた試合で、古関氏の曲が歌われることはなかった。二松学舎大付(東東京)の選手が次々と生還しても、三塁側に陣取る応援団は拍手しか送れない。本来は得点のたびに「学生歌」で喜ぶのがお決まり。コロナ禍のため大声を出す応援は禁止されている。

学生歌は戦後、二松学舎専門学校が新制大学として再出発する際、学生たちの呼びかけで作成。古関氏が作曲した。学生の心意気に感じ入り、ご縁があったからと作曲料は「5円」という破格の値段。今は高校部活動の応援歌としても歌われる。OBでもある市原勝人監督(56)は「入りが格好いい。勢いがつきます」と感謝する。高島との4回戦は7回コールド勝ち。コロナがなければ何度も学生歌で盛り上がったはずだ。

1番の歌詞は「希望今新たなり」で締められる。再び、希望新たと歌える日が来ることを。史上2度目の東京五輪開会式の日に願う。【古川真弥】