全国高校野球新潟大会の準決勝が今日25日、ハードオフ新潟で行われる。

初の4強入りを決めた開志学園。4試合で59得点と打線も好調だが投手陣も侮れない。初戦2回戦、2イニングのみの登板で沈黙を守ってきたエース須原将哉(3年)。苦境を乗り越えベストコンディションで準決勝に臨む。

日本文理のキーマンは1番打者の土野奏(はの・かなで)二塁手(3年)。4試合連続マルチ安打を記録中の切り込み隊長が打線に火をつける。

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「早く投げたい」。準決勝を誰よりも心待ちにしているのが「背番号1」須原。前日練習では目を輝かせて投球練習を行った。

今大会マウンドに立ったのは、初戦2回戦(対巻総合)に先発で投げた2イニングのみ。準々決勝まで計59得点と好調な打線の裏で隠れたキーマンだ。最速144キロのキレと伸びのある直球をメインに多彩な変化球も兼ね備える。両種の球をかけあわせ理想の投球を目指す。

エースナンバーを背負うまでには苦難があった。昨秋県大会3回戦の東京学館新潟戦(1-8)先発で登板。1回1/3を6安打6失点しマウンドを降りた。大会後のタイミングで伊藤日汰(3年)も投手を始めた。好投を見せる伊藤日に対し焦りを感じ「日汰も抑えているから自分も抑えなければ」。ライバル意識から負のスパイラルに陥り一気に調子を崩した。「もう野球をやめたい…」。そうまで思ったと言う。それでも悔しさをバネに冬場の練習後、1人体育館で自主練習を繰り返した。だが春の県大会、「背番号1」を伊藤日に譲り渡してしまう。「もう自分は駄目かも知れない」。そんな苦悩を一番そばで支えたのが元帝京長岡投手の父だった。動画サイトや知人投手から情報を集めるなど励まし続けた。須原は「夏はエースをとる」。父への宣言を結実させた。

準決勝までの間スタメンを外れ、さらに追い込みをかけた。仕上がりは良く「ベストな状態」と話す。3年間の思いを白球に込め、須原は再びマウンドに立つ。【飯嶋聡美】

◆須原将哉(すはら・まさや)2004年(平16)1月25日生まれ。長岡市出身、宮内中。小1の冬から兄の影響で上組こだまスポーツ少年団で野球を始める。中学時代は宮内中で投手。開志学園では1年秋からベンチ入りし、2年秋からスタメン入り。尊敬する選手はロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平。人間性に憧れを持つ。170センチ、63キロ。右投げ右打ち。

○…初のベスト4入りで学校内も盛り上がる。女子硬式野球部は春の全国選抜大会で初優勝。24日から開幕の全国高等学校女子硬式野球選手権(兵庫)にも出場し、27日に初戦を迎える。24日の出発の際は、男子野球部員全員が大声援で見送っていた。川上大輔監督(32)は「部活動が盛んになっているので、この波に乗れたら」と話した。