試合終了直後、うずくまった札幌日大の主戦、前川佳央投手(3年)を、背番号15の弟周也内野手(2年)が支えるように肩を組んで一緒にベンチに戻った。

兄は最後の夏、すべてを出し切った。「今日は自分の体がどうなってでも、チームのために腕を振ると決めていた」。北海相手に自己最多171球の熱投。「悔いのない投球はできた。高校生活でやってきたことが最後の舞台で出し切れた」と胸を張った。

兄が今夏、地区から全6戦で投じたのは765球。準決勝からの連投もあり、体は限界を迎えていた。「自分が降りたら負け。なんとしてでもエースである限り、投げ続けることを考えていた」。終盤に右ふくらはぎがつったが、弟がマウンドまで届けた水を飲み、最後まで投げ続けた。弟は「終盤にかけてピンチは多かったけど、そこで持ちこたえて踏ん張って投げていた。そこは自分も勉強になった」と、兄の勇姿を目に焼き付けた。

兄弟そろっての甲子園出場の夢は、あと1歩で届かなかった。チームは南大会決勝で通算3度目の敗戦。兄は「準優勝は何回も経験している。その壁をなんとか次のチームで突破してもらいたい」。悲願のVを弟たちに託した。【山崎純一】