大阪桐蔭が絶体絶命のピンチを耐えて春夏連続甲子園出場に王手をかけた。延長14回1死満塁。4番花田旭外野手(3年)の右前適時打で勝ち越し、5点奪取で引導を渡した。

西谷浩一監督(51)は「苦しんで勝った方が子どもたちの力が付く」とうなずいた。 敗北寸前まで追い詰められた。8回に1点を勝ち越され9回は1死走者なし。あと2アウトで夏が終わる土俵際で、主将の池田陵真外野手(3年)が内角カットボールを強振し、左翼席へ。起死回生の同点ソロ弾だ。池田は「負けたくない。気負うことなく後ろにつなぐことを考えていた」と言う。延長13回2死三塁。一打出れば敗戦の場面は8回から救援していた松浦慶斗投手(3年)がしのいだ。ナイン一丸で劣勢をはね返した。

名将のミスも帳消しにした。2点リードの7回1死二塁で関大北陽の3番山田を申告敬遠。4番辻鈴太内野手(3年)との勝負を選択も、右中間を破られる同点の適時二塁打を浴びた。指揮官は「あまり触れないでください」と苦笑いで明かす。

「データで(先発投手の)竹中には3番山田君がポイントゲッター。4番の方が確率的に竹中の球で打ち取りやすいと。あまりしたことがない。策として失敗した」

窮地で踏ん張るのが王者だ。全国制覇した18年夏も同じだった。北大阪大会の準決勝で履正社に1点差の9回2死走者なしから逆転勝ち。「本物の力だと思った」と話すのは、当時中学3年で現地観戦した池田だ。同じ球場で自ら体現した主将は言う。「負けない強さが自分たちは必要」。3年後も息づく不屈の魂でピンチを乗り越え、甲子園へと向かう。【酒井俊作】